『鳥の歌』に登場する鳥たち

タカ(鷹:Hawk)

鷹

タカ目タカ科の鳥

鷹の目、この眼光がいい♪

一鷹

鷹の目には150万個の視細胞があります。人間は約20万個ですので、いわば約8倍の視力があるということ。おかげで空高く飛びながら地上の小動物を正確に捉えて狙うことができるのです。

鷹目石(Hawk's Eye)の名前は、鷹の目のように鋭い光を放つ石であるところから。光を反射させる様がとても美しく、鷹の目のように鋭くて広い観察力を与えるとして人気です。邪悪なものやネガティブなエネルギーからも守ってくれます。

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スズメ(雀:Sparrow)

雀

スズメ目スズメ科スズメ属の鳥

ふくら雀。寒くなると雀たちは、羽毛を膨らませた空気の層で身体を温めます。ぷっくりふくふく~♪

日本ではお馴染の鳥ですね。住宅地や市街地などでも普通に生息し、あまりにも身近にいるためぞんざいな扱いをされてきた鳥でもあります。

住宅地に生息する雀は、主食のイネ科の植物の種子や虫だけでなく、パンくずや生ごみ、桜の蜜や桃や梅の実などなんでも食料にしています。都市部で生き残れたのはこの雑食性のおかげです。桜が咲き始めると、楽しげに歌いながら次々に花を切り落とす雀たち。無情……。咲き始めの桜の蜜は、どうやらとても甘いようです。

「雀百まで踊り忘れず」「雀の涙」「雀の踊り足」「雀の小躍り」「雀のぬかよろこび」「江戸雀」「楽屋雀」「雀の酒盛り」「ふくら雀」など、雀にまつわる言葉もとても多いです。

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サヨナキドリ(小夜啼鳥:Luscinia megarhynchos)

スズメ目ヒタキ科の鳥

またの名を「ナイチンゲール:Nightingale」
こちらの名前のほうが有名ですね。

全長約16cm。森林や藪の中で暮らしています。夜明け前や夕暮れ後に透きとおる声で鳴きます。その鳴き声がとにかく美しくて、西洋の鶯ともいわれています。ヨーロッパやからアフガニスタンにかけて生息し、ヨーロッパで繁殖した鳥はアフリカ南部に渡って越冬します。

独身のオスのサヨナキドリは、一晩中、美声を披露することがあるそうです。夜行動物でもない鳥が、何故夜どおし鳴き続けるのか……。スイス・バーゼル大学のヴァレンティン・アムライン氏はその理由を突き止めました。

「真夜中、独身のオスが一晩中静かに座って歌い続けるとき、メスはその周囲を活発に移動する」

要するにメスは、独身のオスからオスへ飛びまわりながら彼らの歌声を聴き、ベストパートナーを"物色"していたのです。歌のヘタなオスは理想のメスとつがいになれません。となると、啼き声の練習も真剣勝負。ますます美声に磨きがかかったのかもしれません。

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ミソサザイ(鷦鷯:Troglodytes)

スズメ目ミソサザイ科ミソサザイ属の鳥
全長約10.5cm。日本の野鳥の中でも最小種の1つです。確かに姿から発見するのは大変そうですね。

日本ではほぼ全国に分布していて、主に渓流沿いの藪や林の中にいます。冬には山麓の沢や林におりてきます。藪の中にもぐって暮らしているうえに小さい茶褐色の鳥。姿を観るのは難しそうですが、身体に似合わぬ大きな声でハッキリ歌い続けるので、声をたよりに探すのがよさそうです。

ミソサザイの存在は『古事記』や『日本書紀』にも登場します。小林一茶の「みそさざい ちっというても 日の暮るる」もよく知られていますね。

西洋ではミソサザイを「鳥の王」としているようです。小さくて弱々しそう、それでいて器用で存在アピールも忘れず、その堂々たる生き方が王様の貫録なのかもしれません。

……それにしても。「スズメ目ミソサザイ科ミソサザイ属」は、早口言葉にもなりそうです。うーむ、難しい。アナウンサー泣かせの鳥かもしれません。

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『鳥の歌』[El Cant dels Ocells]

スペイン・カタルーニャの民謡『鳥の歌』は、カタロニアの祝歌のひとつ、キリスト降誕を歌っています。祝歌の中でみどりごを迎えるのは鷹、雀、小夜啼鳥、ミソサザイ。鳥たちはみどりごを、一輪の花にたとえて歌います。

カタロニアを心から愛していたパブロ・カザルス。彼はこの『鳥の歌』を編曲し、長く封印していた公開演奏を再スタートする際に演奏しました。以後も演奏会の際に必ず弾き続け、故郷への思慕と平和への願いが結びつく『鳥の歌』は、カザルスを象徴する1曲になりました。

カザルスが生きていた当時のカタロニアは、戦禍の悲しみに引き裂かれていた時代でした。カザルスもまた独裁政権を容認せず母国を離れ、激しい政治に応えようとしながらも巻きこまれていきます。帰りたくても帰れなかった母国スペイン。鳥たちが国境を越えて自由に大空を飛び回るように、『鳥の歌』には、自由と平和への想いが託されているのです。

鳥の歌

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