『鳥の歌』に登場する鳥たち

タカ(鷹:Hawk)

タカ目タカ科の鳥

鷹の目、この眼光がいい♪

 

「鷹狩」にはタカ科のオオタカやハイタカが使われます。

 

鷹狩は権威ある男たちに好まれ、平安時代の桓武天皇や嵯峨天皇、平安歌人の在原行平や在原業平、織田信長や徳川家康、江戸時代の大名 島津重豪や松平斉貴などが好んで行っています。

 

スズメ(雀:Sparrow)

スズメ目スズメ科スズメ属の鳥

 

ふくら雀。寒くなると雀たちは、羽毛を膨らませた空気の層で身体を温めます。ぷっくりふくふく~♪

日本ではお馴染の鳥ですね。住宅地や市街地などでも普通に生息し、あまりにも身近にいるためぞんざいな扱いをされてきた鳥でもあります。

 

「雀百まで踊り忘れず」「雀の涙」「雀の踊り足」「雀の小躍り」「雀のぬかよろこび」「江戸雀」「楽屋雀」「雀の酒盛り」「ふくら雀」など、雀にまつわる言葉もとても多いです。

サヨナキドリ(小夜啼鳥:Luscinia megarhynchos)

スズメ目ヒタキ科の鳥

またの名を「ナイチンゲール:Nightingale」

 

こちらの名前のほうが有名ですね。

 

全長約16cm。森林や藪の中で暮らしています。夜明け前や夕暮れ後に透きとおる声で鳴きます。その鳴き声がとにかく美しくて、西洋の鶯ともいわれています。ヨーロッパやからアフガニスタンにかけて生息し、ヨーロッパで繁殖した鳥はアフリカ南部に渡って越冬します。

 

ミソサザイ(鷦鷯:Troglodytes)

スズメ目ミソサザイ科ミソサザイ属の鳥

 

確かに姿から発見するのは大変そうですね。
全長約10.5cm。日本の野鳥の中でも最小種の1つです。

 

ミソサザイの存在は『古事記』や『日本書紀』にも登場します。小林一茶の「みそさざい ちっというても 日の暮るる」もよく知られていますね。

 

西洋ではミソサザイを「鳥の王」としているようです。小さくて弱々しそう、それでいて器用で存在アピールも忘れず、その堂々たる生き方が王様の貫録なのかもしれません。

 

『鳥の歌』[El Cant dels Ocells]

スペイン・カタルーニャの民謡『鳥の歌』は、カタロニアの祝歌のひとつ、キリスト降誕を歌っています。祝歌の中でみどりごを迎えるのは鷹、雀、小夜啼鳥、ミソサザイ。鳥たちはみどりごを、一輪の花にたとえて歌います。

 

カタロニアを心から愛していたパブロ・カザルス。彼はこの『鳥の歌』を編曲し、長く封印していた公開演奏を再スタートする際に演奏しました。以後も演奏会の際に必ず弾き続け、故郷への思慕と平和への願いが結びつく『鳥の歌』は、カザルスを象徴する1曲になりました。

 

カザルスが生きていた当時のカタロニアは、戦禍の悲しみに引き裂かれていた時代でした。カザルスもまた独裁政権を容認せず母国を離れ、激しい政治に応えようとしながらも巻きこまれていきます。帰りたくても帰れなかった母国スペイン。鳥たちが国境を越えて自由に大空を飛び回るように、『鳥の歌』には、自由と平和への想いが託されているのです。