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ポーター
Porter
[ドライスタウトIオートミールスタウトIインペリアルスタウト]
  • サミュエル・スミス・タディー・ポーター(英)
  • シェパード・ニーム・オリジナル・ポーター(英)
  • アンカー・ポーター(米)
  • シエラ・ネヴァダ・ポーター(米)★★
  • グラント・パーフェクト・ポーター(米)★★
  • シカゴ・ビッグショルダー・ポーター(米)★

  • ロンドンで生まれ、荷役労働者(porter)に愛飲されたことから、その名前が付いたといわれるポーター。スタウトと比べて、どちらかと言えば、よりボディが軽いタイプのものを指すことが多いようだが、はっきりした定義があるわけではない。1970年代半ばまではギネスも、アイルランドではスタウトのほかにポーターも造っていた。英米では、ここ十数年の間にリヴァイバルしたビア・スタイル。
    イギリスでは最近、ロンドンにあるギネスのパーク・ロイヤル醸造所が、ポーターの醸造を開始した。同醸造所初のキャスクコンディションド・エール(樽内で2次発酵させた、酵母の生きているリアル・エール)として話題を呼んでいるこのエールは、ロンドンで1722年に初めてポーターを醸造したと言われるラルフ・ハーウッドの名前をとって「ハーウッド・ポーター・エール」と名付けられている。

    【イングランド】

    サミュエル・スミス・タディー・ポーター
    Samuel Smith's Taddy Porter

    何種類ものクラシック・スタイルのビールを復活させたことで知られる、イングランド北東部ヨークシャー州のインディペンデントの醸造所、サミュエル・スミスの醸造になるポーター。
    アメリカではこの名前だが、イギリスでは、“ナーリッシング(滋養になる)・ストロング・スタウト”の名前で売られており、スウィート・スタウトであるサミュエル・スミス・オートミール・スタウトに対して、ドライ・スタウトとして位置づけられている。

    <テイスティング・ノート>
    ホップがよく効いていて、麦芽とのバランスが良い。カラメルのような香りがする。ボディはかなり重く、濃厚で刺激的。


    シェパード・ニーム・オリジナル・ポーター
    Shepherd Neame Original Porter

    ホップの産地として有名な英国南東部のケント州に位置し、イギリスに現存する最古の醸造所(1689年創業)を名乗るシェパード・ニーム醸造所。1990年に「スピットファイア」の醸造を開始し、びん詰めの"プレミアム・エール"というジャンルに先鞭をつけたことでも知られるこの醸造所が、18世紀のオリジナル・レシピに沿って醸造したと主張しているのが、このポーター。色は、ほとんど真っ黒な現代の他のポーターに比べて断然淡く、この主張もまんざら嘘でもないのかと思わせるところがある。
    日本には、今年から同醸造所の「スピットファイア」「ビショップス・フィンガー」とともに、小西酒造の輸入で入っているが、まだまだ置いている酒販店が少ない上に、いずれもボトルが無色透明なため品質管理が難しく、日光臭(スカンク臭)等がつきやすいのが残念。私は、東京・府中市のビアハウス・ケンで入手した。

    <テイスティング・ノート>
    色はダーク・アンバーで、やや赤みを帯びている。日光臭が付いてしまっていたため、正確な判断はできないが、カラメルのようなモルティーなフレーバーがする。ホップのアロマはあまり感じられないが、後味の苦みはかなり強い。ボディは、ミディアムからフル。

    
    
    【アメリカ】

    アンカー・ポーター
    Anchor Porter

    アンカー・ブルーイング(サンフランシスコ)のフリッツ・メイタグといえば、アメリカのマイクロブルワリーのパイオニアにして、ビール業界の生ける伝説として有名だが、彼がアンカー・スチーム・ビールに続いて、70年代初頭に醸造を開始したのが、このビール。まさにポーター・リヴァイバルの草分け的存在。ラベル・デザインはなかなか味がある。

    <テイスティング・ノート>
    あまり特徴的なアロマ、フレーバーは感じられなかったが、これは保存状態が悪かったためかもしれない。全体的に中庸な感じ。多少炭酸が強めのようだ。


    ★★超おすすめ★★

    シエラ・ネヴァダ・ポーター
    Sierra Nevada Porter

    アメリカのマイクロ・ブルワリーの草分けの一つ(1981年創業)で、全米屈指の高い評価を得ている、カリフォルニア州のシエラ・ネバダ醸造所によるポーター。
    この醸造所は、ほかにもスタウトやペール・エールなどイギリス・スタイルの各種エールを造っているが、中でもこのビールは評価が高く、世界最高のポーターの一つとの呼び声も高い。

    <テイスティング・ノート>
    まずホップのアロマと、フルーティな風味が感じられるが、これは、多少苦みのある柑橘系フルーツの味。かなりドライだが味わい深く、コーヒーのような後味。


    ★★超おすすめ★★

    グラント・パーフェクト・ポーター
    Grant's Perfect Poter

    アメリカのホップ産地、ワシントン州ヤキマに本拠を置くマイクロ・ブルワリー、ヤキマ・ブルーイング(1982年創業)のオーナーにして、ブルーパブのパイオニアとして知られるスコティッシュ(スコットランド人)、バート・グラントが造ったポーター。彼の醸造所ではほかにもイギリス・タイプの各種エールを醸造している。

    <テイスティング・ノート>
    かすかに花のようなアロマがして、その奥にモルトの香りが感じられる。そして、ココアかチョコレートのような後味。


    ★おすすめ★

    シカゴ・ビッグショルダー・ポーター
    Chicago`s Big Shoulders Poter

    シカゴ・ブルーイングは4種類のビールを醸造しており、ドイツ系移民の多い中西部という土地柄もあって、メインの銘柄は「レガシー・ラガー」だが、残りはいずれも上面発酵で、その中の一つがこのポーター。
    「ビッグショルダー・ポーター」という名前は、シカゴが生んだ詩人カール・サンドバーグが1916年に書いた「シカゴ」という詩の一節からとられているという。

    <テイスティング・ノート>
    ローストしたモルトのフレーバーが強いが、その中にホップのアロマ、フレーバーが感じられ、非常にバランスがよい。苦みはあるが、それほど強くない。 後味に、焦げた木の根のようなフレーバーが感じられる。ボディはミディアムからフル。


    [ドライスタウトIオートミールスタウトIインペリアルスタウト]
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